法事・法要の服装とマナー

法事の服装など、初七日、四十九日、初盆、一周忌の頃までの会葬者・参列者は、どういった装いをするのがマナーに沿うのでしょうか。法事・法要の参列者の服装と遺族・施主の服装について、また、初七日や四十九日、一周忌の法要の際の最低限のマナーや服装、食事や香典についてなどご説明します。
それぞれの「家」や地域によって風習やしきたりは本当にさまざまですが、基本的・一般的なしきたりや常識については、ひととおり知っておいたほうが安心でしょう。

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服装

四十九日を過ぎ、一周忌、三回忌までは正礼装(または略礼服)の着用が望ましいとされます。

男性

服装 説明
全体 遺族:黒のスーツが一般的
参列者:黒のスーツ(喪服・略礼服)
シャツ 白いシャツ
ネクタイ 黒いネクタイ
ベルト 黒のベルト
靴・靴下 黒いもの
その他 光るものはNG

女性

服装 説明
全体 遺族:正礼装または略礼服
参列者:黒の喪服
黒いもの
ストッキング 黒いもの
バッグ 黒いもの
その他 黒の髪飾りはOK。光るものはNG。

子供、学生

男の子

学校指定の制服がある場合には制服を着用します。
制服がない場合には、黒、紺、グレーなどのブレザーとズボン、白いシャツを着用してください。
靴は基本的には黒いものを。無ければ学生らしい白、紺、黒のスニーカーはOK。派手な色は避けましょう。

女の子

学校指定の制服がある場合には制服を着用します。
制服がない場合には、黒、紺、グレーなどのブレザーとスカートで。白いブラウス、ワンピースなどもOK。
靴は基本的には黒いものを。無ければ学生らしい白、紺、黒のスニーカーはOK。派手な色は避けましょう。

赤ちゃん

乳幼児の場合には、泣き出した場合にすぐ席を外せる場所で参列するようにします。 派手な色やキャラクターものなどは、できるだけ避けるようにします。新生児服や乳児用の白はOKです。手に入るようであれば、グレーなどのモノトーンのものを。難しければ薄い水色やアイボリーなど。


しきたりとマナー

法事・法要のしきたり

葬儀よりも通夜の方がメイン、というような地方(例:北海道)があったり、同じ日本でも地域によって文化が異なるので、とくに他県からお嫁入りした場合などは配偶者や目上の親族に、服装などについての注意事項を聞くなどしたほうがよいでしょう。

また法要の際の和装については、喪主が和装ではないのにその他の参列者が和装というのは適切でないとする向きもあります。
また、喪主が和装でも、長女が和装ではないのに次女や三女が和装するのもよくない、とされることもあるので、念のため、遺族同士で確認し合ったほうがよいでしょう。

葬儀でのマナー(言葉編)

お通夜やお葬式での「言葉」についてですが、参列者をお迎えする場合は、(すべて「一礼」してから)「お忙しいところをわざわざお越しいただきまして、ありがとうございます」「(お香典を受け取ったら)ご丁寧にありがとうございます。さっそく霊前に供えさせていただきます」「定刻には始めさせていただきますので、あちらの席でしばらくお待ちいただけますか」などと言います。

弔問する場合は、不幸が「重なったり」「続いたり」することを想像させる言葉(禁忌語)、例として「重ね重ね」「しばしば」「返す返す」「くれぐれも」「再三」などは使わないようにします。また、「死」や「苦」といった直截的な言葉も使わないのがマナーです。語呂が合ってしまう「九」の数字も避けるのが無難です。
お悔やみの言葉としては、たとえば(すべて「一礼」してから)「このたびはご愁傷さまです」「大変お気の毒でございました」「お寂しゅうございますね」「お悪うございました」などと手短かに言います。または、心がこもっていれば「このたびは……」と言葉を濁し、軽く黙礼するだけでもよいのです。

……最後に、弔問する場合は遺族の方への心遣いのベースにもなる、お弔いに関する基礎的な用語知識をおさらいしておきましょう。

マナーや心遣いのためにも知っておきたい基礎知識

神棚封じ

神道では死を「けがれ」と解釈します。ただいわゆる「穢れ」、汚れ、という意味ではなく「気枯れ」、肉親の死によって遺された家族の生命力(気)が減退している(枯れている)状態を言います。自宅の神棚も「小さな神社」であり、神さまがいらっしゃるため、この「けがれ」が神様の側に入らないよう封じます。
また遺族を主体に考えれば、気を弱らせる「死」と日常生活との間にバリアを設ける、という意味もあるかもしれません。封じ方は簡単で、白い半紙をセロハンテープなどで神棚の正面に貼るだけです。
ただし、仏教では「気枯れ」の概念はないようで、仏壇の扉は、浄土真宗や日蓮正宗では一般的に閉めません。(他の宗派では閉める場合も多いようです。)

末期の水

「遺族が順番に、亡くなった方の口許を水でうるおすことを「末期の水」あるいは「死(に)水」をとるといいます。新しい筆か、箸の先に脱脂綿を巻いて糸でしばり、それに水をふくませて軽く故人の唇を湿らせます。本来は死者が蘇ることを願って行う作法で、家族の思いを深く含んだ儀式と言えるでしょう。
死水をとる順序は一般に喪主、そして血縁の近い順とされており、最初は配偶者、次に子ども、そして故人の両親、兄弟姉妹、子の配偶者、孫の順となります。

北枕と枕飾り

病院から自宅に遺体が戻ったら、仏間あるいは座敷で、頭を北に向けて安置します。目立たないようにドライアイスを使うとよいでしょう。「北枕」は、お釈迦様が入滅された際、頭を北に、顔を西に向け、体の右側を下に、の姿勢をとったとされることからです。
事情によって北枕にできないときには、西枕にします。顔には白布をかけ、両手を胸の当たりで合掌させ、手には数珠をもたせます。
遺体を安置したあとには「枕飾り」を準備します。故人の枕元に、白布をかけた小机を置きます。

副葬品(ふくそうひん)

ご遺体の周囲を生花で飾り、故人の愛用品や家族からの手紙などを入れてあげましょう。お孫さんの描いた絵などもよいでしょう。 生花は、1人ひとり、お別れを言いながら棺に入れていくとよいでしょう。お顔のまわりあたりなどにたくさん入れてあげましょう。
また、ご遺体と一緒に入れる品物ですが、燃えにくいものは不可なので要注意です。 たとえば、いくら愛用していたからと言って携帯電話、ゴルフクラブや釣り竿、またCDやDVDなど、燃えないものは入れられません。
また、あまり大判の、束幅のある写真アルバムなども燃えにくいので控えましょう。 ビニールのおもちゃなど、毒性のある煙が出る可能性のあるものも不可です。

戒名(かいみょう)

本来仏教で仏門に入った証、戒律を守るしるしとして与えられるものですが、日本では「成仏は死後に叶う」という死生観に基づき、故人に戒名をさずけて、位牌・墓誌・過去帳・法名軸などに記す風習が生まれたようです。
戒名料は、主に僧侶への布施として読経料などと共に払います。葬儀社などに依頼する場合は「御布施」として一括支払になる場合もあります。
また「戒名」とは別に「院号」「道号」「位号」などをもらうことで「故人の位が上がる」とされますが、伴って戒名料も上がるようです。その全国平均は俗に40万円とも言われており、「~信士」「~信女」で5万~20万程度、「~居士」「~大姉」で15万~30万程度、院号になると50万以上とも言われます。

位牌(いはい)

「位牌はお寺が用意してくれるもの」と思っていると、四十九日法要が近づいてから大あわてします。 葬儀に用いる白木の位牌は、四十九日までの仮の位牌です。身近な人が亡くなったときは、四十九日法要までに漆塗りの本位牌に作り替えなくてはなりません。戒名の文字入れには2週間程度必要なので、早めに仏壇店に依頼しておくことが大切です。
仮の白木の位牌は四十九日法要の際に菩提寺に納め、住職によって、新しく作った本位牌に「魂入れ」をしていただきます。
お寺で四十九日法要を営むときは、位牌を持参して魂入れをお願いします。 四十九日法要を終えた後、位牌は仏壇に安置しますので、仏壇のない家は四十九日までに仏壇の手配が必要となります。

骨あげ(こつあげ)

火葬後に参列者全員で遺骨を拾います。故人と関わりの深かった順に2人1組になり、箸で一緒に遺骨を拾い上げて骨壺に納めます。故人が三途の川を渡るときの「橋渡し」をするという意味を込めて行う儀式です。 どの部分の骨を拾うのかの順番は地方によっても異なるので、葬祭業者に前もって確認するか、当日担当の係員の指示に沿います。故人ともっとも縁の深い人が、最後に「喉仏」の骨を拾って締めとすることが多いようです。
「分骨」する場合は、火葬場の担当者が骨を分けてくれます。事前に葬祭業者に相談して容器を用意してもらいましょう。火葬場で「分骨証明書」が発行されます。 遺骨は四十九日の忌明けまで、「後飾り壇」という祭壇に飾っておきます。


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