アメリカ・ワシントンDCで、100年以上も咲き続けている桜があります。1912年明治初頭、当時のアメリカ大統領夫人が桜に惚れて「我が国民にも見せてあげたい!」と願いました。すると、その頃の東京市長が2,000本もの桜を贈りましたが、害虫が発生してしまって焼却処分に。その後、害虫に強い伊丹東野産の桜を届けると、虫も病気も発生せずに到着!現在でも毎年美しく咲き誇り、その姿をひと目見ようと、多くのアメリカ人が訪れます。ワシントンのタイダル・ベイスンに植えられている桜は、日本で見られる桜よりも背が低く、芝生すれすれまで枝をたれているのが特長なんですよ。
かつてドイツを東と西に分断していた、ベルリンの壁。やがて、1989年に市民の手によって崩壊されましたが、その跡地に桜が植えられています。その品種は、花弁がとても多い八重桜。人々の自由を奪い、将来の夢を灰色にしていたコンクリート壁のあった場所に、鮮やかな八重桜が並んでいます。現在も天高く幹を伸ばし、自由奔放に枝を広げて、ピンク色の花びらを毎年咲かせているのです。その姿は、自由を獲得した市民たちの喜びを、表現しているかのようですね。
日本とは異なり、公共の場所や野外での飲酒が禁止されていることが多いため、お弁当を食べたり、宴会スタイルでのお花見はほとんど見受けられません。レジャーシートを広げることもなく、ゆったりと散歩を楽しみながら桜の写真を撮ったり、近くで花びらをじっくりと眺めたりと、まさに“ザ・お花見”が主流になっています。見物客の中には日本の着物を身をまとい、風流なスタイルを演出している方々もいるんですよ。飛び交う言葉が英語はじめ外国語である、という点を除けば、現在の日本よりも実に日本的だといえるかもしれません。