おにぎりの歴史

おにぎりとは本来、「具材を中に入れて、炊いたお米で包む」料理のこと。ごはんを「海苔で巻く」ことには、海苔そのものの栄養値の高さに加え、お米粒が手につかない、という2大利点があります。まさに「日本人の知恵」を感じるソウルフードですね。 ここでは、そんなおにぎりの歴史や具材のこと、三角の形の由来や呼び方(にぎり飯、おむすび)についてなど、「おにぎりの豆知識」を集めてみました。

そもそも「おにぎり」って?

『広辞苑』には、“おにぎり”とは「にぎりめし。おむすび」とあります。“にぎりめし”で調べると、「握り固めた飯」、“おむすび”は「女房語で、にぎりめしのこと」とあります。おにぎりの名の由来は、魔除けの意味が込められた「鬼斬り」である、という説もあるようです。

また、「幕の内弁当」には俵型のおむすびが入っていますが、もともとは木型で押し抜いたごはんそのもののことを、「まくのうち」と呼んだとか。


おにぎりの歴史

最古は実に弥生時代から食べられていたとされる「おにぎり」。その証拠に、弥生時代後期の遺跡、石川県杉谷「チャノバタケ遺跡」で「日本最古のおむすび」が発見されました。同遺跡の案内版にはこう書かれているようです。

「チマキ状の炭化米は、底辺約5cm、他の2辺が約8cmの二等辺三角形で、約3.5cmの厚みがある。
日本型のおくてのもち米を使用し、蒸された後二次的に焼かれたものと推定され、現在のちまきに近いものと考えられる。
(中略)こうした調理・整形された米は、全国的にみても非常に少なく、なかでも本例は最古級のものだ。
機能的には携行・保存食だが、食用とは別に霊的なものへの供物あるいは厄除けという呪敵な用途をもっていた可能性がある」

――発見された「チマキ状炭化米」が三角形の形をしていた理由としては、「尖った部分から神が降りてくる」という信仰があったため、とも言われています。 この後、平安時代には、現在のおにぎりの元となる姿と言ってもよい「屯食(とんじき)」が見られるようになりました。この「屯食」は卵型のものが多く、もち米で作られており、雑穀食が主だった当事では大変なご馳走、よってハレの日にのみ食されていたようです。 平安時代の米の食べ方には、たとえば「強飯」、「ひめいい」、「水飯」、「湯漬」、「堅粥(今の飯に近い)」、「汁粥(今の粥に近い)」などがありましたが、がぜん主流だったのは「粥」タイプ。粥から飯に変わってきたのは平安時代も末期で、鎌倉時代以降には、握ったものは「兵糧」「戦陣食」にする携帯食として広まっていったようです。

「屯食」は戦国時代には、それまでのハレの日用のご馳走からすこし変化し、客人をもてなすのに出したとも、兵士が戦場におもむく際に携行したとも、畑仕事に持っていくお弁当代わりに使ったとも言われます。 白米で作った「おにぎり」の文化がより広く伝わったのは明治時代とか。明治18年、宇都宮駅で売られた初めての「駅弁」も握り飯だったとのこと。しかし、本格的に「おにぎり」がポピュラーになったのは戦後のようです。

弥生時代中期〜後期:

石川県旧鹿西町(現中能登町)で、もち米を使用し、蒸された後2次的に焼かれたおにぎり状のチマキ状炭化米塊が発見される。

奈良時代初期:

元明天皇の詔によって編纂された日本各地の風土記のうちのひとつ『常陸国風土記』に、「握飯(にぎりいい)」の記述が見られる。

平安時代:

貴族が、蒸したもち米を握り固めた「屯食(とんじき)」と呼ばれるものを宴で従者にふるまった。また、防人など、兵士の携帯食としても使われたとされる。

鎌倉時代初期:

承久の乱の際、鎌倉幕府側の武士に、「梅干入りのおにぎり」が兵糧として配られた。これが、梅干が全国に広まったきっかけとも言われる。また鎌倉時代末期には、うるち米が用いられるようにもなった。

戦国時代:

兵糧としてのおにぎりが非常に重宝される。「間引き菜」を米と一緒に炊き込んだ「菜飯おにぎり」がよく作られた。豊臣秀吉の天下統一後には、赤米、黒米に比して収穫量の多い白米が広まっていった。

江戸時代:

おにぎりが「弁当」として重宝されるようになる。五街道が整備されるにつれ、旅人が携行食として使用、また農民が農作業の合間に食した。アサクサノリの養殖が始まった元禄時代には、「海苔巻きおにぎり」が作られるようになる。

明治2年:

「山本海苔店」2代目、山本徳治郎が、京都に行幸する明治天皇への土産として、醤油やみりんで味を付けた海苔を作った。この「味付け海苔」は京都を中心に人気を博し、やがて近畿地方では、「おにぎりに巻く海苔」の標準として味付け海苔が使われるようになる。

明治18年:

日本鉄道宇都宮駅構内で、地元の旅館が日本初の「駅弁」販売を開始。黒ごまをごはんにまぶした梅干入りおにぎり2個、ならびにたくあん2枚が竹の皮に包まれて売られた。

明治22年:

山形県鶴岡町(現・鶴岡市)の私立忠愛小学校で実施された日本で初めての「給食」(当事は貧困児童が対象)の献立は、おにぎり、塩鮭、菜の漬物だった。

昭和32年:

「天むす」が誕生する。三重県津市の天ぷら定食店「千寿」が、海老天を芯にしたおにぎりを「まかない」として作り、厨房で食し始めたのを端著に、やがて販売も始める。

昭和53年:

セブン-イレブンが「手巻き」おにぎりを考案、商品化。これはやがて同店の主力商品に育つ。パリパリ海苔の「パリッコフィルム」の考案がきっかけだった。


ご当地おにぎり

おにぎりの「形」についての地域性には諸説あります。地域によらず、弔事、漁港での荷揚げ時、火事の際の炊き出し時、行事や行楽の際、などなどシーンによって形を変えることもあったとか……。地域性があるのは、形というよりはむしろ「具材」のよう。以下、「ご当地おにぎり」いろいろを挙げてみましょう。

◎北海道網走地方には、たらこを具材にしてバターで炒め、さらにしょうゆをつける「バター焼きおにぎり」があります。バターは地域特産の乳製品、たらこも網走の特産品で、いかにもご当地的ですね。

◎北海道支笏湖では、支笏湖で獲れる海老を煮込んだものを具材にした丸いおにぎりが、古くから食されています。

◎北陸といえばなんと言っても“鱒の寿司”ですが、ほかにも富山県は、“昆布”の年間消費量が日本一なことで知られます。とろろ昆布も富山で誕生したもので、ごはんを海苔のかわりにこのとろろ昆布で巻いた「とろろ昆布おにぎり」は、富山の代表的なご当地おにぎりです。

◎珍しいところでは山梨県東八代郡に、無病息災・厄払い・安産祈願の意を込めて握られる「百万遍」と呼ばれるご当地おにぎりがあります。昔は熱湯処理した小石を芯に入れていたとか。小石の入ったおにぎりを妊婦が食べると男子が生まれ、安産であると言われていたからだそうです。

◎大阪をはじめとする近畿地方では、ごはんを巻くのは「味付け海苔」を使うのが正しいとか。その正否は別として、日本の他エリアに比べて、「味付け海苔にぎり」が人気なのは間違いないようです。

◎愛知県や三重県など、東海地方のコンビニエンスストアでは必ずといっていいほど「しぐれ」という名を見かけます。関東で見られる「牛肉のしぐれ煮」とは違い、東海は「あさりしぐれ(佃煮)」です。理由は、アサリやハマグリの佃煮が三重名物であるため。形は三角形が主流。

◎沖縄では「ジューシー」と呼ばれる炊き込みごはん(昆布やしょうが汁や醤油で炊いたもの)がとてもポピュラーで、これを握ったおにぎりも沖縄のご当地おにぎりと言えます。

ほかには「アンダンスー」おにぎりも沖縄のご当地おにぎりで、ゆで豚とネギを味噌やみりんで甘辛く炒めたものが具材です。


なぜ日本はパンでなく「おにぎり(米)」なのか?

パンやパスタを主食に食するようになった地域は、そもそも乳を多く出す羊やヤギ、牛などの飼育が広まり、牧畜、遊牧という文化が根付いたところが多いとか。肉を主菜に、パンを食べるようになったとされます。

一方、米の栽培は、水田などに大量の水が必要となるため、湖、沼がある土地で行われることが多いもの。当然、水田、川、湖、沼には魚が生息しますから、これら「米食」に魚を主菜とした食文化が主になりました。魚以外にも、牛やヤギの代わりに、水田などの農作業を行いながら片手間に飼育できる豚と鶏が重要な食肉源とされました。こうして、魚と豚、そして米という食文化が形成されたようです。

中世の時代に向けては、「けがれた」肉(食肉は「殺生」を前提とするため)と対極に、「聖なるもの」米、という位置づけで、日本人の米志向はいっそう強まって行ったようです。


おにぎりは素手で、アツアツのうちに握る?

実は手で直接握らず、サランラップなどで包むほうが衛生的には○。しかもアツアツだと火傷をするので「少し冷ましてから」でよいのですが、「おふくろ握り」はやっぱり「素手で」が基本、しかも熱いうちに握るほうが、食べたときに中身がふっくらしておいしいですよね。

ラップを使う場合は、ラップの外側にさらにタオルやふきんを重ねて「断熱」の工夫をするのも賢い知恵です。


なぜ、「握る」の?

小麦と違い、水でといで煮るだけで米粒の状態でも食せるのが、米。それをあえて「握る」のはなぜでしょう?その答えにはいろいろありますが、まずは携帯しやすい、食べやすいこと。また「塩むすび」があるように、塩味がついていて丸くなっていればそれだけでおいしい、そしてなんといって子どものころの遠足、運動会などの行事や行楽の楽しい思い出と連動するから、などが代表的なものでしょう。

「直巻き」おにぎりの、ごはんの水気を吸ってすこしやわらかくなった海苔、その家庭ならではの「いつもの塩気加減」、そんな思い出がフラッシュバックして言葉にはしがたい情緒的なおいしさを感じる大人も多いのではないでしょうか。

また、白いごはんがお茶碗に盛られているだけではおかずが2、3品欲しくなってしまうところ、なんでもない「具」が芯に入った、あるいは何かが混ぜられたごはんがまるく(三角に)形成されているだけで、あとは汁物くらいついていれば立派な「ワンプレート・ランチ(ディナー)」になる、不思議なメニュー、それが「おにぎり」でもありますね。


おにぎりの具いろいろ

一口で「おにぎり」と言っても、具はいろいろ……。さらに最近、「スパムにぎり」のように具がごはんの外にあるもの、「ライスバーグ」のように具を「包む」のでなく「挟む」スタイルのものなども出現し、おにぎりの定義も変わってきたようです。ここでは定番の鮭・梅・鰹以外の変わり具材をはじめ、「いろいろおにぎり」をご紹介しましょう。

★ごはんの「上」に敷き詰める具を、ごはんの「中」に包んでしまう!という発想の「丼風おにぎり」はいかが?
たとえば……。

●「豚のコチュジャン炒め」おにぎり
「具材」は、コチュジャン、マヨネーズ、ガーリックパウダーで豚肉薄切りを炒めたもの。

●「鮭の味噌チーズ」おにぎり
「具材」は、鮭のほぐし身をみりんで伸ばした白味噌であえ、細かくちぎったカマンベールチーズと一緒に混ぜたもの。

★一度食べるとやみつきになりますよね――「スパムにぎり」はいかが?
●スパムをこんがり焼き、仕上げに醤油か焼肉のタレを少したらす。俵型のおにぎりの上に乗せて海苔で巻く。

★ハンバーガーよりもヘルシー、「ライスバーガー」はいかが?
●平にしたごはんを2つ用意し、これをハンバーガーのバンズに見立てて、好きなものをはさみます。はさむ具は、照焼きハンバーグ、玉子焼き、甘辛くいためた挽肉や薄切りの豚肉などお好きなものを!

★飲んだ後……でなくてもおいしい。もっと食べよう「焼おにぎり」!
ごはんに酒、しょうゆ、みりん、砂糖を入れ、混ぜて成形し、網の上で焼きます。トースターや、コンロの魚用グリルで焼いても。顆粒の「おでんの素」や塩麹を混ぜてもおいしい!ただこの場合は、しょうゆやみりんの量を加減しましょう。


ごちクル」のご注文実績データで、人気の具材を調べてみました。結果は、

1位.梅/2位.鮭/3位.昆布/4位.ツナマヨ/5位.明太子/6位.おかか/7位.ゆかり/8位.鶏五目/9位.肉味噌/10位.ねぎ味噌

――梅、鮭、昆布、おかかあたりは、まさに王道定番で堂々のランクイン!!この上位3つを見るかぎり、みなさん、そもそも懐かしい味、和の定番の味を恋しく思う気持ちで「おにぎり」を選んでくださっていることがよくわかります。 まずは1位の「梅」ーー。梅干し、と一口で言っても白梅干し、かつお梅、昆布梅、はちみつ漬け、赤じそ漬け、そしてカリカリ梅……などいろいろな種類がありますね。そして、「よい具合」の意味を持つ「あんばい(塩梅)」という言葉があるくらいで、塩(味)と梅(の酸味)のバランスは味覚をとりわけ心地よく刺激することで知られています。どんな梅干しに、どんな種類の、どんな炊き加減のごはんが合うのか。食べ比べてみて「ここの梅おにぎりがおいしい!」を見つけるのも楽しいかもしれません! 2位の「鮭」。鮭にも、おにぎりの具材として相性のよいものとそうでないものがあります。ごはんとしっくりなじむよう、とくに脂のよくのったものを選ぶとおいしいとも言われますね。鮭弁当のようにごはんに「添える」のではなくごはんに「くるまる」ことでよりおいしくなる鮭を選ぶこと、おいしくなる処理をすることが大切。たとえば身がホクホクとさけるものや塩気が強めのものを選ぶ、塩気を少し足すなど……。やはり、研究の末に作られたプロの鮭おにぎりをあれこれ食べ比べて、「ここの鮭おにぎりが自分には一番」を見つけてみるのもよいでしょう。 そして3位の「昆布」。昆布についても、食材の種類以外に、出汁やごま油で持ち前の旨みをより深くするなど、おにぎりの具材にするうえでいろいろな工夫や隠し技が使えるようです。 おいしいおにぎりをなおさらおいしくする、基本的で最重要の役割を担うのが定番具材、だからこそごまかしが効かない!プロの工夫をじっくり、かみしめてお楽しみいただきたいものです。

シンプルな具材だからこそ、最適な材料で作る。ちょっとした手間が生きる。プロがそれをしていることが、「定番がやっぱりおいしいはず!」のご期待にお答えしてリピートされている理由でしょう。

4位のツナマヨは、油をよく切ったツナとマヨネーズを混ぜる比率がミソ。ちょっと塩を加えるのもプロの手腕。 5位の明太子は、「濃い味」がごはんの「芯」にあって欲しいときの代表選手。 7位のゆかりは、「入れる系」よりも「混ぜる系」が恋しい日に選ばれているようです。 8位.鶏五目/9位.肉味噌/10位.ねぎ味噌は、「しっかり仕事の手が加わった」ごちそう具材、外食気分のおにぎりとして選ばれているようですね。


おにぎりの形いろいろ

米を「神の形」の意味を持つ山型にかたどって食べ、神の力の恩恵を得ようとしたものが「おむすび」とも言われます。また、川の水を手のひらですくうときの形を「むすび」と呼んでいたことが語源、とする説もあります。いずれにせよ、三角形でないと「おむすび」とは呼べず、一方「おにぎり」は形を問わない、という説が有力です。


おにぎり、おむすび、どっち?

NHKのアンケート調査によれば、90%の日本人が「おにぎり」と呼んでいるようです。

「おにぎり」は「にぎりめし」を丁寧に言ったもの。また「おむすび」は室町時代初期頃から宮中や院に仕える女房たちがこう呼んでいたことの名残と言われます。コンビニではあえて、マイナーな方の「おむすび」をメニュー名に使っているところもあります。


宮古島の受験生は俵おむすびで合格を期す?

沖縄県宮古島では高校入試が2日間にわたって行われますが、午前中の試験を終えると2日とも、家族と一緒に試験会場の校内でおにぎりやお弁当を食べる習慣があるそうです。そして、そこで食べられるおにぎりはたいてい「俵型」。

なぜ俵型か、というのには、関西では三角おにぎりが弔事用ににぎられることもあるからとか、三角は「カド」が立つから、とか、また入試はゲンをかつぐのでだるまのようなおめでたい形がよいから、とか諸説あるよう。いずれにせよ試験日当日、お母さんがにぎってくれたおにぎりを家族と一緒に食べられるなんて、宮古の受験生さんたちは幸せですよね。


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